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No.026『上手に甘えよう』

子供のころに親に充分に甘えさせてもらえなかった人は、大人になって人格にさまざまな問題が生じてきます。
「もっと甘えさせてもらいたかったのに」と、心にしこりを残しながらも、大人になれば甘えは許されないのだ、という葛藤に苦しみます。
その結果、甘えたい欲求の反動で、他人に心を閉ざしたり、攻撃的になったりしてしまいます。

しかし、人間は誰でも、他人に甘えながら生きているのです。
甘えることは恥ずかしいことではありません。甘えを自覚していないことの方が、よっぽど恥ずかしいことです。
「甘える」と言っても、恋人同士が猫なで声でじゃれ合うのとは、少し意味が違います。
大人としての責任や義務を放棄して権利ばかりを主張する、いわゆる「甘ったれる」のとも違います。

ここでいう「甘え」とは、「他人と互いに依存し合って生きているということを自覚する」ことです。
人間は誰でも、他人との関わり合いの中で生きがいを見出して生きています。
無人島で一生ひとりぼっちで生きていかなければならないとしたら、何の喜びも感じられないでしょう。
人は、他人に依存しなければ生きていけないのです。

暴走族は、決して街外れの人のいないところで暴走行為をしたりしません。必ず、人の目に付くように行います。
社会に背を向け、世間を敵に回すのであれば、自分たちだけで好きなように生きていけばいいものを、結局はそれだけの強さもなく、社会との関わりの中でしか自己を認められないのです。
他人に迷惑をかけることで、姑息な優越感を得ています。すなわち、大いに他人に依存し、甘えているのです。

妻に暴力を振るう夫も、甘えています。
普通、赤の他人に暴力を振るえば、警察に捕まり、罰せられます。妻だから許してくれる、と甘えているのです。
許されることで、自分が受け入れてもらっているという錯覚を起こしています。
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家出や非行を繰り返す少年少女も、まわりの人間がどこまで自分のことを真剣に心配してくれるかを試しています。
わざと問題行動を起こすことで、「こんなにまで傷ついた自分の気持ちを誰かに理解してほしい」と望んでいるのです。

店員に偉そうにする客や、会社でふんぞり返っている上司も、本当は劣等感が強いから、立場上自分に逆らえない人間に対していばることで、ちっぽけな自尊心を保っています。
いくら偉そうにしたくても、無人島でひとりきりでは、偉そうにできません。自分を誇示する対象としての他者を必要とするのです。
他人をバカにしておきながら、実は、「偉そうにさせてくれる相手」として、他人を必要とし、依存しているのです。
(自分に偉そうな態度をとる人に対しては、「この人は、自分に認めてほしくて甘えているのだな」と思っておけばよいでしょう)

どんなに強がっていても、いばっていても、人は誰でも、他人に甘えて生きています。
人格に問題のある人は、その甘え方が下手なのです。
「自分は誰にも甘えることなく生きている」という人がいたら、それは思い上がりです。ただ甘えを自覚していないというだけのことです。
そういう人は、他人の甘えも許すことができません。自分は他人に依存しておきながら、他人に感謝する気持ちもありません。

大人だって、素直に甘えていいのです。「甘えたい」という欲求を素直に自覚することで、多くのストレスや悩みは解決するでしょう。
自分を他人に受け入れてもらうかわりに、自分も他人を受け入れてあげる、それが人間関係の基本です。
上手に他人に甘え、また他人にも甘えさせてあげましょう。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.020-029
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