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たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

たかたまさひろ(著)

こころが休まる本

たかたまさひろ(著)

No.143『新しい自分に出会うために』

自分の劣等感から目をそむけ、他人とのかかわりを断絶し、自分の殻に閉じこもって生きていた人が、自らの意志に目覚め、「これからは明るく前向きに生きよう」と心を入れ替える。
それはもちろんすばらしいことですが、そういうときに陥りがちな過ちがあります。
「前向きに生きようと決めたのだから、これからは後ろを振り返ることは絶対に許されない」と四角四面に考えてしまうことです。

そういう人は生真面目で神経質である場合が多いので、自分が決めたことは完璧にやり遂げなければ気がすみません。
少しでも腹を立てたり、暗く落ち込んだりしてしまえば、「せっかく明るく生きようと決めたのに、なぜできないのだ」と自分を責め、以前よりもストレスを増大させてしまうのです。
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自分を責めないと決めたのに、やはり責めてしまう。「責めてしまう自分」をまた責めてしまう。
やっぱり自分は、自分を愛することも明るく生きることもできないのだ、と自信を失いかけてしまったとき、立ち止まって深呼吸をし、考え直してみてください。

それは生まれ変わるための一時的な苦しみであり、確実に進歩している証拠なのです。あと一歩のところまできているのですから、焦らず、疲れたら休みながら、少しずつでも前進していってください。
「自分を責めない」「明るく笑って生きる」という目的意識をもつことは大切ですが、理想的な姿で自分をがんじがらめにしばってしまうのは、本当に自分を受け入れていることにはなりません。

自分を愛せない、明るくなれない、と殻に閉じこもっている人が怖れているのも、「明るく前向きな自分へと一線を踏み越えてしまえば、二度と泣き言をいえなくなってしまう」という不安でしょう。
自由な大海にあこがれながらも、「一度泳ぎ出してしまえば、溺れても引き返すことができない」という恐怖心を抱き、それならいっそのこと、「どうせ自分はダメな人間だ」とせまい檻の中に閉じこもっているほうが安全だ、と考えてしまい、勇気を出せずにいるのです。

どんなに明るく生きている人でも、ときには腹を立てたり、落ち込んだり、そんな自分を責めてしまったりすることはあるものです。
人間には必ず陰と陽の部分があり、つねに強く明るく生きることなど不可能です。
「自分を責めない」ということは、「自分を責めてしまう自分」さえも責めないということです。

ある人気タレントが、テレビで次のようなことを言っていました。
彼は、明るく気さくなイメージをもたれていますが、実は人見知りが激しく、引っ込み思案なのだそうです。
あるとき、彼は、「嫌いな人を避けていてはいけない。これからは、積極的に誰とでも付き合うことにしよう」と決心し、実行にうつしました。
しかし、しばらくの後、行き着いた結論は、こうでした。
「やっぱり、嫌いな人は嫌いだ。仕方がない」
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彼の挑戦は失敗に終わったのでしょうか。いえ、そうではありません。
以後、彼は、人付き合いにストレスを感じることは少なくなったそうです。
人見知りは直らなくても、「人見知りをすることに劣等感をもっていた自分」から「ありのままに生きる自分」へと大きく飛躍したのです。

怒りや悲しみという不快な感情を抱くことは、とてもつらいことです。
しかし、そういう不快な感情は、いくら抑えつけても打ち消すことはできません。表面的にごまかすことはできても、「誰も自分を理解してくれない」という傷跡となって心に残ってしまいます。
「怒ってもいいのだ」「悲しんでもいいのだ」と、感情をありのままに受け入れ、自分を許すことができれば、深い傷とはならないものです。

「変わらなければいけない」と必死で自分に言い聞かせていては、たとえ変わることができたとしても、「他人に好かれたいために自分をとり繕っている」という嫌悪感は拭えず、自分を好きになることはできません。

口下手な人は口下手なままに、孤独な人は孤独なままに、怒りをためている人は怒りをためたままに、「明るく生きる」ことは可能です。そうするしかないのです。
陰の部分も陽の部分も、両方の自分を受け入れるということが、本当に自分を愛し、自信をもって生きるということなのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

イライラ、ムカムカ、カリカリ…自分の気持ち持て余していませんか?読むだけで嫌な気持ちがなくなります
メッセージ No.140-149
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