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No.158『正しい欲求に従って生きる』

友人たちと会話をしているとき、明るいノリについていけない、自分だけが浮いているような気がする、と悩んでいる人は多くいます。

特に青年期においては、善悪や正否は二の次で、「場になじむこと」が最重要視されることがあります。多感な時期の青少年には、「場から追放されること」は、死刑の宣告にも等しいくらいに厳しいことのように思えてしまいます。
友人たちの輪から取り残されないよう、必死で陽気に振る舞いながらも、心の中は疲れ、冷めているのです。そして、つねに仮面をかぶって他人と接している自分に嫌悪感を抱いてしまいます。
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陽気に振る舞えない人は、きっと、陽気に振る舞うことに向いていないのでしょう。
明るく陽気にしゃべることだけが人付き合いではありません。もともと陽気な性格の人は、もちろんそうすればよいのですが、人それぞれ性格は違うのですから、自分に合った表現の仕方をすればよいのです。

饒舌な人、おっとりと話す人、感情表現の豊かな人、理詰めで考える人。さまざまな性格は、長所でもあり短所でもあります。多種多様だから、人間はおもしろいのです。
「よくしゃべること」は、個性のひとつにすぎません。皆が右へならえをすることはないのです。

ストレスは、「意識と現実のずれ」によって引き起こされます。
「明るく振る舞えない」ことが悪いのではなく、「明るく振る舞えない自分を卑下してしまうこと」がいけないのです。
他人の前で明るく振る舞えなくても、うまくしゃべれなくても、ありのままの自分でいることに安心感をもっている人は、ストレスを感じません。

かといって、自分の感情をいつでも正直に表せばよいというものでもありません。
正直であることが、他人を不愉快にさせたり、傷つけたりすることもあります。その場に応じた適切な判断ができるかどうかということが重要です。

友人と話しているとき、つまらないからといって、露骨に退屈そうな顔をするのは、あまりに子供じみており、相手に失礼です。
恋人からもらったプレゼントが、あまりうれしくないものであっても、うれしそうな顔をしてみせるのが大人の常識でしょう。
「自分の心を偽っている」のではなく、「礼儀として、他人を尊重している」と考えればよいのです。
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自分の欲求を何でもストレートに表現するのでは、ただのわがままな子供と変わりませんし、他人の言いなりになってばかりいるのでは、ロボットと同じです。
幸福とは、いかに自我と外界をうまく適合させるかにかかっていると言ってもよいでしょう。

大人同士の関係では、ある程度は本音と建前を使い分けたり、理性によって欲求を抑えたりしなければなりません。
欲は人間にとって必要なものですが、人は成長するにつれて、あまりに自分の欲だけを張りすぎれば、かえって損をするということを学んでいきます。
ただやみくもに欲を抑えればよいというものではなく、正しい欲とそうでない欲を見分けていくことが肝心です。
その点を理解していないと、一生、欲求不満を抱えた息苦しさの中で生きなければならなくなります。

生きていく中では、我慢しなければならないことがたくさんあります。
しかし、我慢するために生きているのではなく、人生の中に我慢があるのです。
同じ我慢でも、「仕方なく我慢させられている」と考えるのと、「自分の意志で、我慢が必要だと判断したからそうしている」と考えるのとでは、大きく違います。

「誰々のため」という言葉を私たちはついつい使ってしまいます。「他人のせいで我慢させられている」と思い込んでいるのですが、しかし、それらはみな、突きつめれば「自分のため」なのです。
愛想笑いをしてしまうのは、自分がよく思われたいからであり、言いたいことがはっきり言えないのは、気まずい思いをしたくないからです。
「自分のため」に行動することが悪いというのではありません。それを正しく認識していないことから、ストレスが生じるのです。

私たちの言動のほとんどすべては、広義のおためごかしです。しょせん、「自分がそうしたいからしている」にすぎないのです。
それさえはっきり自覚していれば、自分の思い通りにならないからといって、必要以上に不満を感じたり、自己嫌悪に陥ったりすることはありません。

苦しいときは、現実を変えようと努力するよりも、まず自分の欲求が正しいものであるかを見直すことが、解決への早道です。
欲を完全に捨て去ることはできません。心豊かな人とは、正しい欲求に従って生きている人のことなのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.150-159
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