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No.220『苦しみをユーモアで転化する』

怒りや嫉妬というのは、苦しい感情です。
さらにやっかいなことに、これらの苦しい感情は、抑えても消えるものではなく、むしろ、抑えようとすればするほど大きくなってしまいます。

苦しい感情は、抑えるのではなく、別のものに転化させればよいのです。
怒りは自分を奮い立たせるパワーとなりますし、嫉妬は自分を向上させるエネルギーとなります。悲しみを感じたことのない人は、他人の痛みに共感することもできません。
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どのような感情も、人間に必要なものだから与えられているのです。
人間なのですから、腹が立ったなら腹が立ったでよいのです。
重要なことは、怒りを抑えることではなく、怒りが自分に悪い影響を及ぼさないようにすることです。

苦しい感情を転化させるのにもっとも有効な手段は、ユーモアです。
ここに、オーストリアの精神科医、フランクルの例があります。
ユダヤ人のフランクルは、第二次大戦中に強制収容所に入れられてしまいました。
明日の命も知れない過酷な状況の中で、彼は希望を捨てず、収容所にいる人たちを励まし続けます。
「一日ひとつのジョークを考えよう」というフランクルの提案に、ある人が応え、次のようなジョークを披露しました。

「収容所から解放されて、どこかの家の晩餐に招かれた。スープを取り分けてもらうとき、私はつい、その家の奥さんに『底のほうからすくってくれよ』と言ってしまった」
収容所で与えられるスープは、具がほとんど入っていないので、鍋の底のほうからすくわなければ、汁だけになってしまうのです。
そのくせがついているので、収容所を出てからも、ついそう言ってしまったというわけです。

収容所という極限状況にいる人たちでさえ、そのようなユーモアで心を癒し、明日への希望をつなぎました。
ユーモアで現実が変わるわけではありません。しかし、現実に対する認識は大きく変わります。
現実に対する認識、それがすなわち幸せであり、希望であり、生きる力となるのです。
現に、フランクルのいた棟の人たちは、収容所の中でも生存率が高かったそうです。
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悲しいとき、悔しいとき、何でもジョークにしてみればよいのです。
他人に腹が立ったならば、コミカルな音楽を頭の中に思い描き、喜劇の登場人物に見立ててみましょう。
職場でいばりちらしている上司も、チクチクと嫌味ばかり言っている同僚も、喜劇役者だと思えば滑稽に映るものです。おかしくなって、腹を立てている自分がバカバカしく思えてくるのではないでしょうか。
私たちの人生に起こることに、笑い飛ばすことのできないほど深刻なことはほとんどありません。

多くの人は、ありのままの現実を受け入れることは苦しいことだと思っています。
しかし実は、人は現実を受け入れようとしないことによって苦しむのです。
自分はもっと理解されるべきだ、もっと愛されるべきだ、あの人に負けたくない、もっと金持ちになりたい、本当の自分はこんなはずではない……。
果てのない欲にしがみついて虚勢を張り、あるいは他人にこびへつらい、あるいは他人を見くだして慢心する。そうして悪あがきをするために、いつまでも自分を好きになれず、劣等感や虚しさにさいなまれることになるのです。

もちろん、自分を向上させる努力は必要です。しかし、「思い通りにならなければ気がすまない」というのは、浅ましい我欲にすぎません。
現実を受け入れようとせず、不機嫌を抱えたまま、自分を責めたり罰したりすることでは向上は望めません。
ユーモアをもって現実を受け入れ、笑い飛ばしてみましょう。
上機嫌になれば、積極的、創造的になれるものです。
上機嫌でありさえすれば、何ごとも自然にうまくいくのです。
(おわり)

ありがとう ロングセラー 45刷
こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.220-229
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