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たかたまさひろ(著)

こころのおそうじ

たかたまさひろ(著)

こころが休まる本

たかたまさひろ(著)

No.278『他人の中に自分の心が映っている』

他人からののしられたり、侮辱されたりすれば、誰でも腹が立ちます。
しかし、怒りにまかせて相手を攻撃したり、いつまでも恨みを引きずったりしてはいけません。
怒りとは、自分を変革させるためのエネルギーです。自分や他人を傷つけることもできるほどのパワーをもっているのですから、有効に利用すれば、大きな武器となるのです。

他人からバカにされて腹が立ったとき、その対処法は、簡単にいえば二通りしかありません。
相手に言われたことが事実であり、自分のほうが間違っていると思うなら、その忠告をありがたく受け入れ、改めるべきです。
相手のほうが間違っているなら、気にしないことです。心を落ち着けてから、相手の間違いを指摘し、誤解を解く努力をするのはかまいません。
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といっても、「そんなに冷静になれるものではない。腹が立つのは仕方がないじゃないか」と言う人もいるかもしれません。
ここではっきりさせておかなければならないことは、「腹を立てるのがいけないのではなく、それを適切に処理できないのがいけないのだ」ということです。

少し汚い話になりますが、私たちは、毎日自分の身体からふん尿を排泄しています。分別のある大人であれば、それを他人の目に触れないよう、しかるべき場所で処理しています。
ふん尿をあたりかまわずまき散らしておいて、「自然に出るものは仕方ないじゃないか」などという言い分は通用しません。
腹が立つのは仕方がないとして、それを適切に処理するすべを身につけるのが、大人のたしなみだといえます。
身体が老廃物を排出するように、怒りは、心を浄化するために必要なものなのです。

自分をバカにした相手を許すことができず、いつまでも怒りを抑えられないのは、なぜでしょうか。
それはきっと、自分も心の中で相手を見くだそうとしているからです。
「人をバカにするな」という正論で相手を責めれば、その言葉は自分にもはね返ってきます。
バカにするなと言っておきながら、自分も相手をバカにしている。それではつじつまが合わないので、自分の意見を堂々とぶつけることができない。
その後ろめたさのために、どれだけ相手を責めても気は晴れないのです。
その自分の心こそを見つめ直すべきです。

恋人に尽くしてきたのに、あっさりと振られてしまった。
誕生日には高価なプレゼントを贈ってあげたし、どこかに遊びに行きたいと言われればよろこんで連れて行ってあげたし、自分が仕事で疲れていても嫌な顔ひとつせずに付き合ってあげたのに。
結局、私は都合よく利用されただけなのだ……。

そう腹が立ったときは、きっと自分も無意識のうちに、相手を都合よく利用しようとしていたのです。
自分にも愛情はなく、「こんな恋人がいれば、友達に自慢できる」という単なる見栄のために、おざなりのテクニックで相手の気を引こうとしていただけなのです。
だから、自分が愛されなければ、すなわち自分に何の利益ももたらされなければ、それらの努力がすべて無駄に思えてしまうのです。
相手がいい加減な気持ちで自分と付き合っていたという事実を知って腹が立つのは、「自分もそうだった」ということに嫌でも気づかされるからです。
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他人から嫌われることを怖れてしまうのは、本当は自分も相手を嫌っているからです。
偉そうにしている人を見て不快に感じるのは、自分の心にも同じようなごう慢さが潜んでいるからです。
他人の嫌な部分、みにくい部分を見て腹が立つのは、他人を鏡として自分の心をのぞき込んでいるような恐怖を感じるからです。

他人に腹が立ったときは、「他人を責めるのと同じくらいに、厳しい目を自分に向けているか」と自分に問いかけてみてください。
他人へのいら立ちは、自分へのいら立ちなのです。
それに気づくだけで充分です。自分を責めたり、焦って無理に克服しようとしたりする必要はありません。欠点のない人間はいないのですから。
ただ、自分をありのままに認めるだけでよいのです。それだけでも、非常に勇気のいることです。

他人のわがままや悪意にすべて目をつぶればよいというのではありませんが、他人の欠点と自分の欠点のどちらを優先させて解決するべきかといえば、もちろん自分のほうです。
「自分にもそういう部分があるのだ」と思えば、他人を許し、受け入れることができます。

あなたをバカにする人もきっと、自分の弱さに怯え、劣等感と必死に戦っているのです。
あなたが他人から認められたがっているのと同じように、相手も誰かから認められたいと心の底から願っているのです。
あなたが嫌っている人も案外、「他人が変わってくれれば、自分も変われるのに」と思っているのかもしれません。
互いに弱点を攻撃し合うのではなく、足りない部分を補い合うようにすれば、新しい何かが生まれることでしょう。
(おわり)

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こころのおそうじ。(だいわ文庫)
たかたまさひろ(著)
定価 770円(税込)

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メッセージ No.270-279
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